スピンドルモーターの基本原理と回転機構の解説

スピンドルモーター は、高速回転を必要とする装置に用いられる専用モーターで、ハードディスクドライブ(HDD)、光学ディスク装置、工作機械の主軸など幅広い分野で利用されています。その特徴は、安定した回転制御と高精度な位置決め性能にあります。本記事では、スピンドルモーターの基本原理と回転機構について解説します。

1. スピンドルモーターの基本原理
(1) 駆動原理

多くのスピンドルモーターは ブラシレスDCモーター(BLDCモーター) をベースに構成されており、ステータとロータの電磁相互作用で回転が生じます。

コイルに通電すると磁界が発生し、永久磁石を持つロータが引き寄せられて回転。電子制御により連続的な回転が維持されます。

(2) 電子制御

ホールセンサーやセンサレス制御方式でロータ位置を検出。

インバータ回路により駆動電流を切り替え、安定したトルクと回転数を実現。

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「写真の由来:CNCスクエアスピンドルモータ空冷 380V 1.5KW 18000RPM 300Hz ER20コレット

 

(3) 特徴

摩耗部品(ブラシ)がなく長寿命。

高速回転に適し、数千〜数万rpmの範囲で安定動作。

低振動・低騒音設計が可能。

2. 回転機構の構成要素
(1) ステータ(固定子)

銅線コイルを巻いた電磁石部分。

通電制御によりロータの回転を生み出す原動力。

(2) ロータ(回転子)

永久磁石を備えた部分で、ステータの磁界に引かれて回転。

高速化のため、軽量化とバランス設計が重要。

(3) 軸受(ベアリング)

ロータを支える機械的要素。

HDDでは 流体動圧軸受(FDB) を採用し、摩耗を低減して静粛性を確保。

工作機械では 高剛性ベアリング を用い、高精度な主軸回転を実現。

(4) 回転制御回路

回転数を検出し、制御信号をフィードバック。

必要なトルクや速度に応じて電流を調整し、安定した回転を維持。

 

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「写真の由来:CNC水冷スピンドルモーター110V 1.5KW 24000RPM 400Hz ER11コレット CNCインバータ(VFD)モーター

 

3. 用途別の回転機構の特徴

HDD・光学ディスク用

微小な振動もデータ読み取り精度に影響するため、超低振動設計。

数千〜一万rpm程度で安定駆動。

工作機械用スピンドル

高速かつ高トルクで、切削抵抗に耐える設計。

直結駆動(ダイレクトドライブ)で精密な回転を実現。

医療・精密機器用

歯科用ハンドピースや精密ドリルでは、超高速かつ滑らかな回転が求められる。

4. スピンドルモーターの特徴と利点

高速回転でも安定したトルクを維持。

振動・騒音を抑え、静粛性が高い。

電子制御により正確な回転数を維持できる。

用途に応じて 小型化・高精度化・高耐久化 が可能。

まとめ

スピンドルモーター は、ブラシレスDCモーターをベースとした電磁原理と精密な回転機構により、安定した高速回転を実現しています。ステータ・ロータ・ベアリング・制御回路が一体となって機能し、データ機器から工作機械、医療機器まで幅広い分野で利用されています。

その信頼性と精密性は、今後の産業や精密加工の分野でもますます重要な役割を果たすでしょう。