クローズドループステッピングモータの代表的な活用分野と導入効果

クローズドループステッピングモータは、通常のオープンループステッピングモータにフィードバック制御を追加したタイプのモーターです。この制御方式により、モーターの位置や速度を常に監視し、必要に応じてリアルタイムで調整が可能となります。これにより、高精度な位置決めやトルクの安定性が実現でき、従来のオープンループ式のモーターでは難しい、より厳密な要求に対応できるようになります。

この記事では、クローズドループステッピングモータの代表的な活用分野と、その導入効果について詳しく解説します。

1.クローズドループステッピングモータの基本機能

クローズドループステッピングモータは、エンコーダやセンサーを用いてモーターの動作を監視し、フィードバックをリアルタイムでドライバに伝達します。これにより、モーターの動作に位置誤差や速度のばらつきが生じる前に、必要な調整を行うことができます。

1-1.オープンループとクローズドループの違い

オープンループステッピングモータ:外部からのフィードバックを使用せず、制御信号に従ってモーターが動作します。負荷の変動や摩擦などにより、位置精度やトルクが不安定になることがあります。

クローズドループステッピングモータ:エンコーダやセンサーを使ってフィードバックを取得し、モーターの状態をリアルタイムで調整します。これにより、負荷変動や動作のばらつきに対応でき、安定した性能を維持できます。

 

 

https://www.skysmotor.com/images/202107/goods_img/581_G_1627719861871.jpg

「写真の由来:Nema 34 クローズドループステッピングモーター 8.5Nm/1203.94oz.in 1000CPRエンコーダ付き

 

2.クローズドループステッピングモータの代表的な活用分野

クローズドループステッピングモータは、その高い精度と安定性から、さまざまな分野で利用されています。以下に、代表的な活用分野を紹介します。

2-1.産業機器(CNC機械や工作機械)

CNC機械や工作機械では、非常に高い精度が求められます。特に、位置決め精度や繰り返し精度が重要であり、負荷変動に柔軟に対応できるクローズドループステッピングモータは、これらの要求を満たします。

活用例:

CNCフライス盤や旋盤:高精度な加工を行うために、クローズドループステッピングモータを使用して、位置決め精度を確保します。

3Dプリンター:プリンターのヘッドやプラットフォームの移動を高精度で制御するために使用され、均一な印刷が可能になります。

2-2.ロボティクス(産業用ロボット)

産業用ロボットでは、精密な動作と柔軟性が求められます。特に、繰り返し精度やトルクの安定性が重要で、クローズドループステッピングモータはこれらを提供します。

活用例:

ロボットアーム:クローズドループステッピングモータは、ロボットアームの精密な動作を制御するために使用されます。精密な位置決めと負荷変動への対応が求められます。

自動化ライン:製造業における組立作業や検査作業などで、クローズドループステッピングモータが高精度な操作を実現します。

2-3.医療機器(手術ロボット、診断機器)

手術ロボットや診断機器では、高精度な動作が必須です。特に、医療現場ではミクロン単位の精度が求められるため、クローズドループステッピングモータの安定したトルクと精度が非常に重要です。

活用例:

手術支援ロボット:高精度な位置決めが求められるため、クローズドループステッピングモータは、手術支援システムにおいて非常に有用です。

医療機器(MRIやCTスキャナ):患者の体内をスキャンする機器において、モーターの正確な位置決めと動作の安定性が要求されます。

2-4.エレクトロニクス(カメラ、光学機器)

カメラや光学機器では、モーターによる焦点調整やズーム機構の制御が必要です。クローズドループステッピングモータは、これらの精密な操作を高精度で実現します。

活用例:

カメラのオートフォーカス機構:クローズドループステッピングモータを使って、焦点を精密に合わせることができます。

光学機器の調整:精密な位置決めが要求される光学機器や測定機器にも、クローズドループステッピングモータが使用されます。

https://www.skysmotor.com/images/202107/goods_img/533_G_1627719851101.jpg

 

「写真の由来:Nema 14 ギヤードクローズドループステッピングモーター 40Ncm/56.7oz.in エンコーダ 300CPR

 

3.クローズドループステッピングモータの導入効果

クローズドループステッピングモータを導入することにより、高精度な制御が可能となり、さまざまな分野での生産性向上や性能向上が期待できます。以下は、クローズドループステッピングモータ導入の主な効果です。

3-1.高精度な位置決め

クローズドループステッピングモータは、フィードバック制御によって位置決めの精度を高めることができます。これにより、精密な作業が求められるアプリケーションでも、高い精度での動作が可能となります。

効果:

位置誤差の削減:モーターの位置を常に監視し、誤差を最小限に抑えることができます。

繰り返し精度の向上:同じ動作を繰り返す際の精度が向上し、再現性の高い作業が可能です。

3-2.負荷変動への対応力向上

クローズドループステッピングモータは、負荷の変動に柔軟に対応できるため、安定したトルクと均一な速度での動作が可能です。これにより、負荷が不安定な状況でも、精度と信頼性を保つことができます。

効果:

負荷の変動に強い:モーターのトルクが安定し、負荷が急激に変化しても精度を維持できます。

性能の安定化:動作が安定し、機械の信頼性が向上します。

3-3.振動と騒音の低減

フィードバック制御により、クローズドループステッピングモータはスムーズな動作を実現し、振動や騒音を低減することができます。これにより、静かな作業環境を提供し、精密な作業でも安心して使用できます。

効果:

振動の抑制:動作が滑らかになることで、振動が減少し、機械の寿命が延びます。

騒音の低減:より静かな運転が可能となり、作業環境の向上が期待できます。

3-4.エネルギー効率の向上

クローズドループステッピングモータは、過剰なエネルギー消費を防ぐため、必要なトルクに応じた電流を供給します。これにより、エネルギー効率が向上し、ランニングコストを削減できます。

効果:

エネルギー効率の向上:必要なエネルギーだけを供給することで、消費電力を削減します。

コスト削減:エネルギー効率が向上することで、運用コストを削減できます。

4.まとめ

クローズドループステッピングモータは、高精度な制御と安定した動作を実現し、さまざまな産業分野での生産性の向上や品質の向上に貢献しています。特に、負荷変動に強く、振動や騒音を抑制する能力が高いため、精密機器や高精度な操作が要求される機械での活用が進んでいます。

その導入により、機械の信頼性が向上し、高精度な作業をより効率的に行えるようになります。クローズドループステッピングモータは、今後ますます多くの分野で重要な役割を果たすでしょう。